鈑金の塗装

塗装にも何種類かありただ塗料を塗ればオッケー、ではありません。

塗装位なら自分でできるもん、と意地になって愛車のボデーを自分で塗り始めるのは 本当に板金塗装の知識と技術を持っているのなら問題ないでしょうが、そんな人は あまりたくさんいないと思います。 「毎晩プラモデルに色塗ってるよ、だから車体の傷だって塗ってやるさ」と言い放つ 人や「フィギュアに塗装するテクニックは町内でもトップクラスのこのボクなら、 ちょちょいのちょいで自家用車の擦り傷なんか消してみせるよ」と啖呵を切る人なら いいところまでいく可能性もわずかにありますが、それでも完璧に作業をこなせるかは ちょっとあやしいかもしれません。 自動車とプラモデルでは同じように塗装ができないので、やはり鈑金塗装の知識も ないと確実に任せることはできないのです。 自動車の塗装も何種類かあり、元々の車体の塗装状態に合わせて修復しなければ傷跡 を消すための塗装部分が目立ってしまうことも考えられるからです。 塗料で擦った傷を隠すだけでなく、そのことを誰にも悟られないように修復した箇所 が浮いて見えないよう、元からそうだったように見せるため、周囲と同じ色で同じ光沢 になるよう塗装しなければ意味はないのです。 これを実現させるには鈑金塗装の種類についても知っておく必要があります。 1コートのソリッド塗装はボデーの鋼板の上に防錆処理、下地処理をしてそこに塗料 を塗る一番オーソドックスな鈑金塗装です。 塗料もわかりやすいタイプで、メタリックのような煌びやかなものではなくホワイト (白色)やブラック(黒色)が多いでしょう。 メタリックよりも塗装は簡単で、すなわち鈑金塗装も少ない手間で行えます。 この上から透明なクリア塗装を塗ればけっこう輝きを持つのでそれほど地味に感じる こともなく、リーズナブルな部類に入ります。 2コートのメタリック塗装は少し手間のかかる鈑金塗装でボデーの鋼板の上に防錆処理、 下地処理を施してその上にメタリックカラーを塗り、さらに透明なクリア塗料で仕上げ のコーティングをする贅沢な鈑金塗装です。 メタリックとは塗料に細かい金属片を散りばめたもので、日光や照明が反射して車体が キラキラ輝く効果を持たせることができます。 愛車を派手にしたいのならかなりお勧めの塗装なので、目立ちたがりの人はメタリック の車体を目標に生きていくといいでしょう。 ちなみに最上層のコーティングは光沢のためだけではなく、金属片を酸化からガード する役割も持っていますので省いてはいけません。 空気に触れすぎると金属片が酸化して変色する恐れがあり、そうなるとせっかくの メタリックカラーも台無しで残念です。 「クリア塗料無しでもキラキラでこれだけで充分注目の的になれるね、予算も少ないし ここまででいいよ」なんて中途半端なメタリック塗装をしてしまうと、数年後には 汚らしいボデーカラーになってしまうかもしれません。 メタリック塗装よりもワンランク上には3コートのパール塗装があります。 これはボデーの鋼板の上に防錆処理、下地処理、そこにカラーを塗りパール入りの クリア塗装、さらに上からクリア塗装と3段階の塗装になります。 メタリック塗装では金属片でしたがパール塗装は細かい雲母の粒を使っています。 カラーの上から半透明な二酸化チタンなどの膜でコーティングしますが、これが何層 も積み重なって美しい反射を実現させています。 その輝きはパールを彷彿とさせることからパール塗装と呼ばれ、まるで真珠が埋め込んで あるかのような芸術的輝きを見せてくれます。 このように鈑金塗装にも何種類かありますので、ドアの一部分だけ塗装したい場合でも 周辺の色に合わせて、元の色に溶け込むように同じ塗装をしなければなりません。 いくら上手に塗れてもその箇所が目立つようでは失敗です。